ポジティブ心理学とは

 

 

ポジティブ心理学の概要

 

ポジティブ心理学とは、個人や社会が正しい方向に向かい、ウェルビーイングな状態になり、繁栄するにはどうすればよいか、科学的に研究する学問です。1998年に当時のアメリカ心理学会会長のマーティン・セリグマン博士が創設した心理学の一分野ですが、起源は古代ギリシャの哲学までさかのぼり、道徳哲学や人間性心理学などがルーツとなっています。

 

具体的には、心身共に健康でいるにはどうすればよいか、よい人間、よい生き方、よい社会とはどのようなものかなど、ウェルビーイングの実現に役立つ様々な事が研究されています。研究テーマは、ポジティブ感情、楽観性、幸福度、強み、レジリエンス(逆境に負けない力)、EQ(Emotional Intelligence Quotient、心の知能指数)、道徳、教育、利他主義などがあります。

 

学問分野は心理学だけでなく、脳科学や社会学などの知見・手法も取り入れ、分野横断的な研究が行われています。また、実践方法の科学的な検証も行われています。

 

 

ポジティブ心理学の実践の効果

 

ポジティブ心理学の理論を実践することにより、心身共に健康になるストレス・逆境に強くなる、価値観・人格が改善される、主観的ウェルビーイングが高まる等の効果があります。

 

欧米では多くの教育現場に導入されており、精神力の強化、学力の向上、社会的スキルの向上、免疫力の向上が実証されています。ビジネスにも導入され、社員のストレス減少、離職率の低下、パフォーマンスの向上、利益の増加が報告されています。

 

日本の教育現場にも導入されており、ポジティブ心理学の理論を基に小学校の学校改革を行ったところ、コロナ禍にもかかわらず、アンケートで児童の98%が「学校が楽しい」、職員の97%が「職場におけるストレス無し」と回答しています。(参考:中島晴美「ウェルビーイングな学校をつくる」,教育開発研究所,2023年1月)